ええ?すごいですよ!
日本
3-9-2020
ネコとネズミ むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。 ある日のこと、おじいさんが山の畑で草むしりをしていると、草むらに一匹の子ネコがいました。 「おおっ、可哀想に。腹を空かせとるようじゃな。どれ、一緒に家に帰ろうな」 山で拾った子ネコを、おじいさんとおばあさんは、まるで自分の子どものように大事に育てました。 ある日の事、納屋(なや→物置)の中で、何やら変な音がするのに気がついたネコが、納屋へ入っていきました。 ♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。 ♪つゆのしっけをふきとばせ。 ♪それやれ、みがけやみがけ、ネズミのお宝。 ♪みがいてみがいて、ピッカピカ。 納屋の床にある小さな穴の中から、ネズミたちの歌う声が聞こえてきます。 次の日も、ネコは納屋に入ってみました。 すると、キョロキョロとまわりを見まわしているネズミを見つけました。 ネズミは袋からこぼれた豆を、拾おうとしています。 そのとたん、ネコはネズミに飛びかかっていきました。 「ひゃ~っ!」 おどろいたネズミは、いまにも泣きそうな声でいいました。 「お願いです。どうかわたしを見逃して下さい。わたしたちネズミは、ネズミのお宝をみがかなくてはなりません。これは大変な仕事なのです。疲れがたまったのか、お母さんが病気で倒れてしまったのです。それで、お母さんに栄養をつけさせようと、豆を探しに出てきたところです。お母さんが元気になったら、わたしはあなたに食べられに出てきます。それまでどうか、待ってください」 「・・・・・・」 ネコはネズミを、はなしてやりました。 「ありがとうございます。約束は必ず守りますから」 子ネズミが穴の中へ帰ってしばらくすると、ネズミたちの前に豆がバラバラと落ちてきました。 子ネズミが驚いて顔をあげてみると、なんとネコが、一粒一粒、豆を穴から落としているのです。 子ネズミは豆をお母さんにわたすと、ネコの前に出ていいました。 「ネコさん、ありがとう。これでお母さんも元気になることでしょう。さあ、約束通り、わたしを食べて下さい」 しかしネコは持っていた残りの豆を子ネズミの前に置くと、そのまま納屋から出ていきました。 「ありがとう。ネコさん」 ネズミの目から、涙がポロリとこぼれました。 それから何日かたった、ある日のこと。 納屋のほうから、チャリン、チャリンという音がします。 納屋の戸を開けたおじいさんとおばあさんは、目を丸くしました。 「これは、どうしたことじゃ?」 なんと床の穴の中から、小判がどんどんと出てくるのです。 そして小判のあとから子ネズミ、母ネズミ、ほかのネズミたちも出てきました。 子ネズミが小さな頭をペコリと下げると、 「おかげさまで、お母さんの病気もすっかりよくなりました。本当にありがとうございました。それとネズミのお宝を無事にみがき終える事が出来ました。お礼に少しではございますが、この小判をお受け取りください」 と、山のように積み上げられた小判を指さしました。 「なんと、このお宝をわしらにくれるじゃと」 それは、おじいさんとおばあさんが二人で暮らしていくには、十分すぎるほどのお宝でした。 こうしておじいさんとおばあさんは、いつまでも何不自由なく、元気に暮らすことが出来ました。 もちろん、ネコと一緒に、ネズミたちもとても可愛がったという事です。 おしまい